読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

覚えられませんっ

元「覚えらんない人のためのオンラインソフト備忘録」。遅ればせながらブログ移行してみた次第。

本日の読書ノート「竜馬がゆく」中編

      • 薩摩には,野郎という会がある。若者が,酒宴をする。一座の中央に,天井からひもを垂らして,鉄砲を水平にぶらさげておく。銃口は各自の胸にあたっている。やがて宴たけなわになると,鉄砲の火縄に火を付け,ぐるぐるまわす。それでも平然と酒をのみ,うろたえる者をいやしむという試胆会であった。
      • どういう人間が大事業をなせるか,西郷がいたった結論。「命もいらず,名もいらず,官位も金も要らぬ人は,始末にこまるものなり。その始末にこまる人ならでは,艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬものなり」
      • 勝の西郷評。「俺なんぞは西郷よりもあたまがいい。しかし人間としてあの男にとても及べぬのは、その大胆識と大誠意にある。江戸城明け渡しの時でもそうさ。おれの一言を信じて、たった一人で江戸城に乗りこんできた。おれだって、時と場合には多少の権謀を用いぬこともないが、あの男の至誠にかかってはかなわぬ。おれをして、あざむくに忍びざらしめた。この時に際して、ちっぽけな小細工を用いるのは、かえって西郷のために腸を見透かされるだけだ、と思い、おれも至誠をもって応じたから、江戸城受け渡しも、あのとおり、すらすらと座談のあいだに済んだのさ。」
      • 勝と竜馬の別れ。「一人前の艦長に育て上げたのはおれだがしかし恩に着なくてもいいぜ。他日、海上でわしは幕府艦隊をひきいてお前さんを討つかもしれねえ。その時は、そっちも艦隊を自由自在に切りまわして、存分にやりな。」竜馬はだまっていたが、やがて涙が噴くようにあふれ出て、始末におえなくなった。有史以来、これほどの師匠をもったものがあるか、と思った。
      • 西郷の外交観。「外国と付き合うには、独立の体を定め、外国との約束は一々履行し、一事たりとも信義を誤り、礼節を失ってはいけない。もしかれが条約外のことで横車を押してくれば、条理をよく説き聞かせてやり、すこしも動揺恐懼(きょうく)してはいけない。そのさいもし戦の一字を恐れ、曲げて彼の説に従えばついに国が崩れる。右のごとく外国と交渉するときには道をもってし、道に斃れても(戦争して敗れても)後悔はしないという覚悟でやらねばならぬ」
      • 生きるも死ぬも,物の一表現にすぎぬ。いちいちかかずらわっておれるものか。人間,事を成すか成さぬかだけを考えておればよいとおれは思うようになった。