覚えられませんっ

元「覚えらんない人のためのオンラインソフト備忘録」。遅ればせながらブログ移行してみた次第。

ザウルス初心者(=俺)リナザウ(SLC-3000)に苦しむその3

相変わらずリナザウをいじっている。目覚めるとまずリナザウに手を伸ばし、便所にはリナザウを持って入り、手持ちぶさたになると辞書を読んだり昔の読書ノートをブンコビュワーで縦書きにして見たり、閨房にまでリナザウを持ち込むので妻にあきれられたりここでは言えないような用途に用いてぬらぬらにしてみたり(はしてない。こわれたらどーすんだ。)、散歩にも買い物にもリナザウ、朝な夕なにリナザウ、食前食後にリナザウ、海に山にリナザウ、といった日々を送っているというのも大げさではあるがまあそんな感じだ。なんといってもSLC-3000の4Gハードディスクというのはこれまでに自分が作成した文書ファイルが楽に全部収納できる大きさであり、「このデータはあのファイルにあるな」というものはすべてリナザウで閲覧できる。加えてネットに接続してもフルブラウジングがそれなりに可能な端末であるから、大げさにいえば「不便はあっても不可能はない(ちょっと我慢すればたいていのことは実用に足る範囲内でできる)」という感じ。それがあのサイズで可能なのだから、SLC-860と3000で迷ったあげく、C-3000にしたのは正解だったといえよう。
で、使用頻度が高いのはやはり辞書。リナザウ(SLC-3000)を買っちまった俺 - 覚えらんない人のためのオンラインソフト備忘録で触れたようにSLC-3000にプリインストールされている「マルチメディア辞書」もPDAの辞書ソフトとしては出色の出来だと思うが、リナザウにはさらに「Zten改」という強力なフリーソフトがある。今回はこのZten改の導入と使い勝手を記録しておこうと思う。俺の場合、研究者とかいうわけではなくただの辞書好きソフト好きなので、専門辞書を多用するわけでもなく突き詰めた使い方をするわけでもない。したがってわかってないところ不適切なところがあると思われる。「馬鹿、そうじゃねえよ」とお気づきの部分はご指摘いただければ幸い。

Zten改の導入

このソフトの配布ページは基本的に「わかってる人」を対象にしているようで、俺はここを見てもどうやって導入したらいいのかよくわからなかった。SLC-3000で使用する場合、まずはzlib、eb、ztenvの3つのipkファイルを落としてインストール。続いてZaurus Driveでebz形式の圧縮EPWING辞書を転送。とりあえず起動してみる。辞書がない。これまで俺が使ってきた辞書ソフトでは、ここでメニューからオプションかなんかをえらぶと「辞書のサーチ」みたいな項目があるはずだった。これがZten改にはない。辞書のパスを設定できるわけでもないので、さてどうすれば辞書を認識してもらえるのやらわからない。
配布ページの掲示板の中に答えはあった。解答は「/home/zaurus/documentsの下にdictというディレクトリを作成し、その下に辞書をコピーする」である。Zten改を起動してみるとBuckighum EB Compressorで作成したebz形式のすべての辞書を認識していた。ちゃんと使える。入れてみた辞書は以下のとおり。

  • 英辞郎(書籍版のCDをEBStudioでEPWING化)
  • PCSucces版 Super日本語大辞典(「Super日本語大辞典Toolkit」にてEPWING化)
  • PCSucces版 マイペディア(「マイペディアツールキット」にてEPWING化)
  • 電子ブック版 日本大百科全書
  • 研究社 新編英和活用大辞典
  • システムソフト版 ロイヤル英文法(dessed11にてEPWING化)
  • Cobuild English Dictionary Version3.0(CobuildConv.rbにてEPWING化)

今のところ俺の環境で問題がある(俺が気づいている)のは、

    • 「電子ブック版ジーニアス英和・和英辞典」で音声が再生できない。
    • 「PCSuccess版学研Super日本語大辞典」で「漢和大字典」の筆順ビデオが再生できない(これはべつにZten改のせいではなく、Zaurusのプレイヤーが対応していないだけだろう)

の2点のみ。インライン画像などは問題なく見えている。

Zten改の優れた部分

リナザウの辞書を使ってみてうれしかったのはCobuildの表示で「1単語が2行にまたがる」ことがない、ということ。WindowsでもPocketPCでもCobuildの表示は単語の途中でも関係なく次の行に送ってしまい、ハイフネーションもしてくれないのだが、リナザウの辞書ソフトはちゃんと次の単語の始まりから行頭に送ってくれる。こうしてくれると読みやすさが全然違う。
さらにZten改では、インクリメンタルサーチする辞書を指定できるのがポイントが高い。通常インクリメンタルサーチをするかどうかはソフト全体の動作指定となり、するとなれば串刺し検索をするすべての辞書でインクリメンタルサーチを行う。当然全部の辞書を検索するため重くなり、せっかくのインクリメンタルサーチの軽快感がなくなってしまう。ところがZten改では、インクリメンタルサーチをする辞書グループが決まっていて、この辞書グループに辞書を登録する形式をとっている。俺は英語を見出し語としている辞書だけを登録しているが、これなら軽快感がそれほど損なわれない。すべての辞書を検索するには、検索語を入力後Enterを押せばよい。このインターフェイスには感心した。
検索するとまずは候補画面を出して候補の語と辞書名をしっかり表示してくれ、カーソルをあわせてEnterまたはOKで本文を表示する、というのも画面の大きさを考えれば使いやすいインターフェイスだと思う。

俺が個人的に感じる不満点

独特のインターフェイスは良い面もあるが使いにくいと感じる面もある。たとえば候補一覧と結果を同時に表示した場合、「マルチメディア辞書」では左右キーで候補一覧と結果本文を行き来できる。本文にフォーカスがある場合は上下キーでページ内を移動でき、候補一覧にフォーカスがある場合は上下キーで次候補・前候補に移動する。対してZten改ではフォーカスは基本的に検索語の入力窓にあり、左右キーは入力窓のカーソル移動に使われる。一度検索した語を一部修正したりすることはそんなにないと思われるため、この仕様、俺はちょっと疑問に感じる。そこで設定を変更し、「設定-結果表示」で「矢印キーを結果のスクロールに使用する」にチェックを入れておくと、左右キーで検索結果を上下にスクロールできるようになる。だが、これも「左右キーで上下に動く」、ということになるため、なんか違和感がある。俺としては「マルチメディア辞書」のインターフェイスの方が自然に感じる。また、「マルチメディア辞書」ではTabキーでフォーカスを移動していけるが、Zten改ではTabによるフォーカス移動ができない。これもWindowsアプリに慣れている身にとっては「あ、できないんだ・・・」と感じる部分ではある。
まあ、こういう部分は慣れ次第なのかもしれないし、以前から使い続けているかたは「だからこそ使いやすいんじゃねえか」とお思いかもしれないが。

いずれにしてもリナザウは最強の携帯辞書環境だと結論づける俺

SLC-3000はやや大ぶりではあるがぎりぎり常時携帯可能な大きさに4Gのハードディスク搭載。EBZ形式に圧縮すれば相当多くの辞書を格納できる。しかもキーボード付き。値段はちょっとはるが、EPWINGや電子ブックをかなりのタイトルお持ちのかたには絶対におすすめの携帯辞書環境である。PocetPCでもEB Pocketというすばらしい辞書ビュワーが現れたが、やはりストレージの容量とキーボードでSLC-3000の方に軍配が上がるだろう。新機種がHDDなしだという噂を聞いたりするにつけ、SLC-3000が壊れたら辞書はどうしようもうPocetPCには戻れないぜってことはSLC-3000速攻でもう一台購入して真綿にでもくるんで大切に大切に保管しておき今のやつが壊れて保管しておいたものの箱を開けたらカマドウマの死骸が入っていてキーって感じになったりする未来の俺を想像して背筋がやや寒くなったりしている俺であった。